正しくは「こんばんは」だと知っていますか?
意外に思われるかもしれませんが、実はこの「こんばんは」問題。
僕の周りでも3年に1度くらい本気の議論が行われます。もちろん参加しているのは全員、大の大人達です。
「こんばんは」について知っている大人って、実は驚く程少ないんですよね~。
この記事は、正しい「こんばんは」の知識で、あなたが場で突如発生した「こんばんは」問題を、美しく解決する為の解説記事です(大げさ)
「こんばんは」が正解!
つまり、「こんばんわ」は間違いということになります。
実生活の中でも、特に友人関係などフランクな場面では「こんばんわ」を使っている方もたまに見かけますが、「こんばんは」が正解です。
もちろん、これにはきちんとした理由があります。
「こんばんは」が正しい理由
ではなぜ「こんばんは」が正しいと言えるのでしょうか。
なぜなら、そもそも「こんばんは」とは、全く新しく0から生まれた単語ではなく、「文章」の略語が語源だからです。
具体的にどんな文章の略語かと言えば
「今晩は、ご機嫌いかがですか?」
「今晩は、良い月ですね」
など、「今晩は、~」という夜のあいさつを省略したものなので、そもそも「は」は「今晩(名詞)」という言葉にかかる助詞(係助詞)なんです。
日本語の助詞として「わ」という文字は通常は使いませんよね。(アタシたちゎズッ友だよ・・などの現代文学は除く)
ですので、文法的に正しい表現は、「こんばんは」ということになります。
「こんばんは」の歴史
ただし、実はこの「こんばんは」問題。これで終わりではないんです。
というのも、実は歴史上、「こんばんわ」も正解だった時期があるんです。ややこしい。
実は「こんばんは」の歴史は意外と新しく、昭和61年の中曽根内閣時に「現代語仮名遣い」が公示されるまで「こんにちわ」も間違いではなかったんです。
これ、どういう変化が起きたのかと言うと「現代語仮名遣い」によって、助詞は「は」を使うということが明確になったんです。
年配の方が文書上で「こんにちわ」を使うことがあるのは、こういったところが理由かもしれませんね。
なぜ「は」を「わ」と発音するのか?
えーと、これも日本語の歴史になるんだけども、ざっくり説明するね
日本語の発音の遷移の中で、「ハ行」の発音は特に変化が起こりやすい言葉でした。
なかでも平安時代初期に「ハ行転呼」という大変革が発生したことで、単語の先頭以外の位置にあるハ行の音節が、全てワ行の発音に変わることになったんです。
平安時代初期のハ行子音の音価は無声両唇摩擦音[ɸ](現代のファ行の子音にあたる)であったが、平安時代中期以降、唇音退化現象により[ɸ] は以下のように両唇接近音[β̞]、すなわちワ行の音に変化した。
かは(川) [kaɸa] → [kaβ̞a]こひ(恋) [koɸi] → [koβ̞i]うへ(上) [uɸe] → [uβ̞e]かほ(顔) [kaɸo] → [kaβ̞o]
-wikipehiaより引用
そして第二次世界大戦後に、現代の発音に基づいた現代仮名遣いが公布され、ハ行転呼を受けた実際の発音通りの仮名遣いがなされるようになりました。(それまで発音だけ「かわ」だった「かは」が、「かわ」と表記されるようになった。)
しかし表記が変っていく中で、助詞の「は」「へ」「を」は、使用頻度的に残っている文書などにも多すぎた為、書き換えていく抵抗感が大きいと判断され、「わ」「え」「お」と書き換えずにそのまま残すと決められました。
こうして、助詞の「は」だけが、「わ」と読むにも関わらず「は」のまま残されているんです。
逆ゥ!!
まとめ:現代の仮名遣いでは「こんばんは」が正しい表現
- 文法的には「こんばんは」が正しい
- 歴史的に「こんばんわ」が正しい時期もあった(~昭和60年)
- 「こんばんは」の語源は、「今晩は」
ただ、さっき後輩の「部下Aくん」が言ったとおり、現代でも日常会話で「こんばんわ」という方は一定数いますし、そこまで気にする必要はないのかなと思います。
どうしても気にしなければいけないのはビジネス文書などを書く場合、少しオフィシャルな文書上は「こんばんは」と表記しなきゃまずいかもしれませんね。
以上です!ご参考になれば!