お世話になっております、Xi藤です。
今さらながら読みました。今回は、「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」の書評です。
結論から言うと、めちゃくちゃ勉強になりました。他の芸人さんが書くような自伝やエッセイとは一線を画す、正真正銘のビジネス書です。
早速本の概要から紹介していこうと思っているんですが、まずその前に言いたい。タイトルちょっとオシャレすぎない。
「革命のファンファーレ」内容紹介
クラウドファンディングで国内歴代最高となる総額1億円を個人で調達し、絵本『えんとつ町のプペル』を作り、30万部突破のメガヒットへと導いた天才クリエイターが語る、”現代のお金の作り方と使い方”と最強の広告戦略、そして、これからの時代の働き方。
「現代のお金と広告」について、主に2017年10月に発刊した自身の著書「えんとつ町のプペル」の制作や売り方を軸に解説しています。
なぜ1万部売れれば大ヒットと言われる絵本業界で、30万部の大ヒットが出せたのか。
この本を読めば「芸人としての知名度だけで売れた」、「とにかく素晴らしい絵本だから売れた」という感想はでなくなるでしょう。
彼は、「お金と広告」の実体を正確に捉えていたからこそ、大ヒット作品を生み出せたのです。
「革命のファンファーレ」の見どころ
見どころはもちろんたくさんあるんですが、僕がこの本を読んでいて、特に感銘を受けた「頷きすぎて首もげそう案件」を3つだけ紹介します。
それが以下。
- 作品の「育児放棄」をしていないか
- クラウドファンディングを成功させる秘訣
- 口コミをデザインする
では、順番に解説していきまーす!
作品の「育児放棄」をしていないか
世の中に作家、クリエイターはゴマンといるが、それらクリエイターの99.9%は作品を生み出すだけで仕事を終えた気になってしまっている。
これは「作品のクオリティさえよければ、勝手に作品は売れていく」と勘違いしているということであり、つまりは著者が言いたい事は、「作品は消費者に届けるまでが作家の仕事」という事である。「遠足は、帰るまでが遠足」に似ている(似てない)
そして「消費者に届ける」為には、「現代のお金と広告」について、正確に理解する必要があるのだ。
クラウドファンディングを成功させる秘訣
絵本「えんとつ町のプペル」はクラウドファンディングにより集めた資金で制作されている。実際に集めた金額は5650万円であり、これは当時の日本の集金額一位だったそう。
世間一般では「嫌われ者」として認識されている西野亮廣が、なぜこれほどの資金を集められたのか。
「嫌われ者としてでも、芸能人としての知名度があったからでは?」とほとんどの人は考えるかもしれないが、本質的には正しくない。
なぜそう言えるかというと、西野亮廣より世間的に知名度があるであろう、ロンドンブーツ1号2号の田村淳もクラウドファンディングを行っている。しかし、西野亮廣「えんとつ町のプペル」の10分の1の金額も集められていない。
どうやら知名度と集金額は比例しないことは証明された。では西野亮廣はどうしてお金を集められたのか?それは、彼が「お金の正体」を正確に理解していたからだ。そしてその正体とは、「信用」である。
著者曰く、「支援者から事前に「信用」は得ていた。その信用をお金に「両替」しただけなので、資金が集まるのは当然のこと」だそうだ。
そして信用を得る為に著者が実際にしたことは、①嘘をつかない、②自分の意思を明確にする、③意思を発信する場を作ることだ。
全てを解説してしまうととっても長くなってしまうので、①だけ端的に紹介する。
”スポンサーにとって都合のいいタレント”というのは、世間からすれば「嘘つき」に見える。そしてそれを理解している西野亮廣は、いつもその逆の行動をとっている。「嘘をつかない」ためだ。
少し逆説的だが、おそらく普段の西野亮廣を思い返してもらえれば、納得できる点もあるのではないだろうか。彼は自分の「意思」に嘘をつかないことで、世間的な好感度は落としているが、ファンの信用度は高めているのである。
口コミをデザインする
最も拡散させ辛いが、最も効果的な広告。それが、口コミである。
では、口コミを生み出すにはどうしたらよいか?それは、ニュースに”させる”ことだ。
彼が行っているデザインとは、「良かれ悪しかれとにかく物事をキャッチ―にさせること」である。異質だと思わせることだ。
その結果どういうことが起きるか。他メディアがとりあげるのである。それがテレビであればベストだし、それ以外にも週刊誌、新聞から個人ブログ、SNSなどでもいい。とにかく他人に言及させる、ニュースとして発信させる事が最重要なのだ。
件のクラウドファンディングもそう。クラウドファンディングをよく知らない人は、「西野がタダでファンから5000万集めたらしい。絶許。」となる。
そしてあなたがツイッタ―などで「西野は絵本制作の為にファンを騙してる!」と呟けば、その瞬間、一つの口コミが生まれる。それは「”西野”が”絵本を出した”」という一つのニュースだ。
「名前を売る」ことの重要性は、昔から何度も論じられてきた。「悪名は無名に勝る」ということわざがあるくらいである。
そういう意味で、昔から大量にいらっしゃる西野アンチは、彼にとって「大事なお客様」なのである。
「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」レビューまとめ
彼の理論は、「結果に運や偶然が介在する余地はなく、全ての結果には理由や原因がある」というもの。
そして、全ての結果に理由があるならば、その理由さえ整備すれば、結果は当然にでるということである。
しかし、その「理由」ここで言えば「売れる理由」について、ほとんどの作家が「作品のクオリティ」しか考えてこなかった。
そこに彼が「売れるまでの導線」も付け加えた。作家自身である彼が。発想も目のつけどころも、正真正銘ヤバい人である。クリエイターと広告代理店が同居したような人間と言えるだろう。
そして何より、この本で書かれている「売るまでの導線づくり」、つまりは広告戦略の多くは、実は芸能人やプロのクリエイターでなくても、一般人でも流用できる、いやすべきものなのだ。
一般人が「広告」について考えなければいけない時代
これまでは、ほとんど小売店を経由していた流通経路が、「インターネット」によって破壊され、1億総クリエイター時代、つまり「革命」が既にやってきているのである。
革命がすぐそこまできている事に、いやむしろ、もう既に自分が革命の中にいる事に、気付いている者と気付いていない者。
ここから数年後の差はきっと、想像を絶するものになるだろう。
せめてこの本を読んだ者には、その事実に気付いて欲しいと。おそらくその思いで、彼は読者に問いかけている。
あなたの人生を変えるかもしれない、新たな時代からの警告。
「革命のファンファーレ」。
果たしてそれが。その「声」が。
君に聞こえるか?